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陸文夫のこと

昨日本をたくさん頂きまして、荷解きするや手に取ったのが、コレ

『消えた万元戸』
陸文夫/著・釜屋修/訳 日本アジア文学協会/発行

陸文夫については、その死が報道されたとき、御大が京都新聞に寄稿していました。
(京都新聞に寄稿した文章の数々は書籍としてまとめられています。)
その文章には
「陸文夫が視線を注いだのは、いわば革命が積み残した世界であった。これ以後彼は、下積みの庶民の姿を”路地裏の奥”に追い続けた」
とあります。「革命」というのは新中国の建国のことです。

夜も更けていたので、ここに収められている作品の一つ、まさしく『路地の奥深く』を読みました。
翻訳の巧みさもあるのでしょう、目の前に情景が浮かび主人公の女性と彼女に思いを寄せる男性の切なさに涙が出るような気持ちになりました。
陸文夫自身も時代に翻弄され苦労しているのですが、それだからこそこの二人に注がれる著者の視線の優しさを感じられます。

御大の文章によると、中国のある評論家は陸文夫を評して「藍染め木綿生地で仕立てたトップモード」といったそうですが、木綿生地のような素朴さと文章の清潔感をよく表していると思いました。

最後に、この邦訳には「日本の読者の皆さんへ」という前書きがあります。「陸蘇州」と呼ばれたこの作家は日本の読者が蘇州に遊びに来たとしたら、お互いどこかですれ違っているかもしれないと。ただ残念なのはお互いを知らなかったことだと書いていました。
彼はすでに死んでしまったけれど、蘇州に行けば彼に会えそうな気持にさせてくれました。
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