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現代白話文(続き)

皆様 今晩は。
前記事の夢華録さんのコメントを受けての記事です。

今、問題になっているのは白話文学の定義だと思います。

夢華録さんのおっしゃるように「白話文学」は明代にも現れていますし、それ以前の宋代の「古今小説」も「白話文学」の代表的作品として挙げられます。
宋代の白話小説の題材は講談や演芸など庶民の間で盛んになったものが多いと、夢華録さんのH.N.にもなっている『東京夢華録(とうけいむかろく)』に記されています。(『東京夢華録』は当時の都であった「東京(とうけい)」の風俗や地理・年中行事について書かれています)
そのほか、先にあげた『古今小説』や『警世通言』等があります。
これらは白話でかかれたのには理由があり、講談師の台本、つまり話本であったからです。
講談はしゃべりですから、当時の話し言葉「白話」で書かれたのは自然なことだったのです。

その後、明代には『水滸伝』が著されました。夢華録さんがコメントで指摘してくださったようにこの作品も宋代のものと同じく「語り物」です。

つまりその時代の書かれた「語り物」というのは全くの話し言葉。
私は文学革命時代を経て書かれた魯迅の『狂人日記』以後の作品ははちょっと趣が違うのではないかなぁ、と思います。

今、宋・明代の白話小説の原文がないので、単なる私の仮定となってしまうのですが。
講談の台本と言うのは純粋に聞いて違和感のない話し言葉だったのではないかと・・・方言なども交えたものではなかったかと考えます。
それに反して、「現代白話」・・・宋・明代の「白話」と区別して「現代白話」といいます・・・は理解を助けるために話し言葉の単語や語法を用いつつも「語って聞かせる」ことを意識したのではなく「読む」ことを意識して書かれたのではないかと予想します。
そうすると自ずと文体が違ってくるのではないかと思い・・・宋・明代は文言あっての白話だったと思いますが、現代においては位置づけが違うのではないかと思います。
そのへんが魯迅の小説より宋・明代の白話小説のほうが読みやすいという理由にもなるでしょうし、私はこの点で普通語の元となっている「現代白話」と「宋・明代の白話」と区別したいと思います。


しかし、現代白話とそれ以前の白話と区別したにもかかわらず1900年代前半に書かれた小説の中には文体が定まっておらず、いわゆるお国言葉めいた文体で書かれた小説もあったということを読んだことがあります。
それによって1950年以後作家本人の手によって書き換えが行われたと言う事実があります。
(その流れは前記事で挙げた国務院の法規も無関係ではないと思われます。)
だから、魯迅の『狂人日記』を現代白話のスタートに定めるのは・・・どうなのかなぁ、と思わないでもありません。
そういうこともあって、『狂人日記』については

『それは現代白話で書かれた最初の作品とされていますが、規範化されたもので書かれた訳ではありません。
試行錯誤しつつ現代に至っているというのが現状だと私は理解しています。』

と記事に書きました。

それから、あともう一点。

『中国語の難しさは、現代白話文といいつつ、小説や映画のセリフに四書五経や古典の原文引用が頻出することですよね。
結局それが分からないと教養がないと馬鹿にされるわけです。』

・・・という夢華録さんのコメントについては私は全く同感で、中国人の一般教養として四書五経などが染み付いているのだと思います。
しかし、日本語にも中国古典の言い回しがベースになって直接的に言わずに表現することがあります。
古くは平安時代に清少納言が中宮定子に「香炉峰の雪いかならむ」と言われて白居易の詩にちなんで機転を利かせて中宮を喜ばせた、という記事が枕草子にみられます。
それと同じことが中国人の言語生活において現代も息づいているということだと思います。
しかし、それは中国語に限らないのではないかと思います。
どの言語においても文化が背景にあって、それが各言語独自の世界を作り出しているのではないかなぁ、と思います。

今回の記事を書くに当たって大学のテキストを参照しました。
それから、『懺悔と越境』(坂井洋史・著/H17)を一部参考にいたしました。
自分が読んだり、聞いたりしたことで出典が明らかでないものもあります。ご了承ください。

夢華録さん、ありがとう。
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